12月24日、クリスマスイブ。
ベッドに入っていても心もとない寒さの中クラウドは目を覚ました。無意識に隣にいるはずのティファに手を伸ばすも、そこにはもう誰もいない。どうやらもう起きて店に降りてしまったらしい。
傍にある携帯で時間を確認すると、クラウドもベッドからもぞもぞと抜け出した。クリスマスを明日に控えた時期のため最近は目の回るような忙しさで、今日も早朝から夜まで配達の予定が詰まっているのだ。
バスルームで顔を洗ってクローゼットの前に引き返すと、いつもの黒衣とは違う服に手を伸ばした。
ジャケットを手に二階の寝室から階段を降りると既に一階は温かく、食欲をそそる香りが漂っていた。キッチンにはいつもの服装をしたティファがいて、てきぱきと仕込みをしている。
降りてきたクラウドに気づいてティファが笑いかけた。
「おはよう、クラウド。朝ごはん出来てるよ」
「おはよう、ティファ」
いつもの席に座ってティファから温かいスープを受け取り礼を言うと、にこにことティファがこちらを眺めてくる。
「どうかしたのか?」
「やっぱり似合うね、その服」
「……やめてくれ」
くすくすと笑うティファに思わずクラウドは渋い顔をした。
今着ているのは白いセーターに大きめのベルトがついたデニムで、いつもの服ではないがそれほど違和感はない。しかし横に置いた緑の差し色の真っ赤な上着は日常に使うには明らかに派手であり──この時期に着るなら、サンタクロースを思い起こさせるようなイメージの服だった。
つい先日、ユフィが差し入れと称してティファに2着のサンタ衣装を強引に押し付けていったのが全ての始まりだった。WROの備品をかっぱらってきたというその衣装は男女用1セットずつあり、それを見たティファが『クリスマスはサンタクロースの仮装をして営業しよう』と言い出したのだ。
当然クラウドは反対した、試着をしたティファを見たらなおさらだ。だが『せっかくのプレゼントだから…クラウド、お願い!』とティファに本気で頼まれてしまえば、彼に断る選択肢は残されていなかった。
そうして迎えた今日24日と、明日の25日にデリバリーサービスではサンタのクラウドがプレゼントを配達し、セブンスヘブンでは同じく仮装したティファが昼と夜の営業を行う予定だ。上着もベルトも派手な赤色の目立つ装いは趣味ではないが、仕方がない。
「衣装の件SNSでも告知したけど、評判良かったよ?」
「ああ……新しく作ったやつか。なんて名前だった?」
「@7thHeaven_pk2、だね」
ティファがSNS(……Z?いやYだったか?ともかく、ものすごく変な名前のSNSだった)でセブンスヘブンの公式アカウントを作ったのは数日前のことだ。普段は料理の写真や営業案内などを投稿し、たまにデリバリーサービスの業務連絡も引き受けるツールとして使うらしい。
スマホを開いてアカウントを探すとほどなく目的のものは見つかった。『クリスマスはセブンスヘブン、ストライフ・デリバリーサービスともに特別な制服で営業しております』という文言とともに、可愛らしいサンタの画像がすでに投稿されている。
暫くスクロールしてタイムラインを眺めていると、ティファが話しかけてきた。
「クラウド、時間は大丈夫?今日はどこまで配達に行くの?」
「そうだな、確か……」
クラウドはジャケットのポケットを探ると、今日の配達の地図を取り出した。
答えを入力して配達に出かけよう!:
にプレゼントを届けた後、
の で荷物を集荷し、
の に配達する。
